明治大学卓球部 OB対現役のドリームゲームには正直全く期待していなかった。ところが蓋を開けてみると、他のドリームゲームと比べても格段に面白い内容となった。簡単に言えば、現在日本卓球界を引っ張っている五輪代表の水谷、丹羽が、既に全日本では成績を残しているとはいえ若手の宇田と戸上の下剋上にどう対抗するかが楽しみであった。(ちなみに森薗と龍崎も似た構図であり、試合内容も面白かった。)しかし、選手、特にOBがどこまでの緊張感をもって試合に臨んでいくのかが分からなかった。
実際に試合の映像を見ると、特にOBの選手は試合中であっても笑顔が見えるくらい、本番の試合とは違いリラックスした雰囲気を感じた。ただし、緊張感に欠けるということはなく、むしろ適度にリラックスした雰囲気の中で試合をしているように見えた。3番からは5ゲームスマッチだったこともよかった。他の試合で採用されている3ゲームスマッチは実力差があったとしても、さすがに短すぎる。
4試合目の丹羽のパフォーマンスは圧巻で、戸上の猛攻を交わすプレーに卓球の奥深さを感じた。丹羽と言えばカウンターやトリッキーなプレーが身上であるが、今回はそれ以上に繊細かつ頭脳的なプレーが目立った。
しかし、何よりも衝撃だったのはラスト5試合目の水谷のパフォーマンスである。酷かったのだ。宇田がよかったということもあるが、それ以上に水谷が酷すぎた。まずあんなに体の大きくなった水谷を始めてみた。太ったのか、それとも筋肉を付けたのかは分からない。いずれにしても絞れていない印象を受けた。そして水谷の特徴でもある堅守が全く見られない。ひたすら宇田に打ち込まれ続け、かわすプレーもことごとく通じない。まるで強い中国人選手に一方的にやられているときのようだ。いや、相手が強い中国人選手でも、水谷は下がることはあっても、簡単には撃ち抜かれなかった。今回はその守りすら見られなかったのだ。練習不足で反応速度が落ちているのだろうか。
現在31歳の水谷は全盛期を過ぎ、モチベーションを保つのも難しいことは想像に難くないが、東京五輪が開催された時、どこまでコンディションを上げることが出来るのだろうか。試合勘も大いに心配であり、全日本も出場せず、国際大会もコロナ下で限られてくるとなると、Tリーグでの試合が大事になってくるのだろう。
今まで日本チームを一人で引っ張ってきた水谷が東京五輪で負ける姿を見たくない。どこまでコンディションを上げられるのだろうか。五輪が開催されるならもう1年を切っている。東京五輪までの水谷を見るのが、楽しみでもあり不安でもある。
最後になるが、波田陽区は元気なのだろうか。団体と混合ダブルスでメダルを取って波田陽区をテレビに出してあげて欲しい。それは水谷の義務だ。